ISBN:4794964730 単行本 山形 浩生 晶文社 2001/01 ¥1,890

 この場合、聖書とは旧約聖書と新約聖書を指す。
 史上最大のベストセラーにして、多くの人々の心の拠り所。しかし、聖書が慈愛に満ちた物語だなんて思ったら大間違いだ。
 この本には聖書に含まれる残酷な面が片っ端から集められている。しかも、それらは肯定的な意味で載っているものばかりだから驚きだ。例をあげよう。

 シケムの町の王子がヤコブの娘を強姦するが、情がうつって彼女と結婚したいと言う。ヤコブの息子たちは、王子も含めてその町の男全員が割礼を受けないとそんなのは認められないと主張。王子はよろこんでそれにしたがうけれど、かれと町の男たちが手術の痛みから回復しきらないうちに、ヤコブの息子たちが町を襲撃。虐殺と略奪のかぎりをつくし、女たちを奴隷にして男を皆殺しにする。―創世記34

(引用部分は本書のP42より)

 知らない人のために言っておくとヤコブはイスラエルその人だから、つまり主人公側の人間だ。
 有名なモーゼも虐殺行為に事欠かない。

 (神が)イスラエルの民を皆殺しにする、といきまくのを、モーゼがなんとか説得する。かわりにモーゼが提案したのは、金の子牛を拝まなかった人は、神への忠誠を証明するため、子牛を拝んだ人の中で自分に一番近しい人―ご近所、友だち、親戚、子供―を殺す、というもの。これでだいたい3000人ほどがぶち殺される。それでも神さまの腹はおさまらない。そこで神さま、生き残りに疫病を放つ。―出エジプト記32:7-14,25-35

(引用は本書のP48-49)

結局殺すのかよ!

聖書には興味があるけど、ちょっと手が出ない……という人はこの本から読んでみると良い。もっと聖書が読みたくなると思う。

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